マルクス その可能性の中心
柄谷行人の「マルクス その可能性の中心」(1978)は高校時代にはじめて読んだ批評でした。マルクスを貨幣の謎に根本的に向き合った思想家として捉えて、そこから価値形態論に注目していきます。商人資本主義の段階では商品の価値は地域差によって生じていたものが、産業資本主義には技術革新によって時間の差によって生じる。空間的にも時間的にも複数の価値体系があり、価値はその差異によって生れるので、商品自体にはないという。左翼思想・マルクス主義・共産主義の思想的な破産した時代に、マルクスに可能性があるとしたら、マルクスの「資本論」を読み直すこと以外にはない。「資本論」は貨幣・商品・価値の現実の姿を見極めようとしたもので、その真の姿はいまだ解き明かされていない。
時間的に複数の世界が貨幣によって繋ぎ止められている。貨幣は複数の世界を移動している。貨幣がなければ、世界は分裂したままである。

